子供に関する権利

親権

親権とは、未成年者の子供を保護、養育し、子供に財産がある場合、その財産を管理するなどして、子供を無事に大人に育てる義務のことを言います。
 
婚姻中は両親が共同して親権を行使している状態になりますが、離婚後は父母のどちらか一方が親権者となって親権を行使するように決められています。

親権は法律的には以下の二つに分けられます。
 

身上監護権

→未成年の子供の身の回りの世話、しつけ、教育等の親としての権限。子供の姓を改める際のように法律行為の代理人になることも含まれます。

財産管理権

→遺産相続などによって子供が財産を所持した場合、この管理や売買など法律行為の代理人となる権利です。

親権は権利というよりはむしろ養育の義務といった側面が強いといえます。親権がどちらの親に所属するかは、離婚成立前に必ず決定しなければなりません。
 
なお、子供が既に成人している場合、未成年で結婚している場合は、親権に関する取り決めを行う必要はありません。

協議離婚を目指していても親権の所属が決まらない場合、離婚は成立しません。この場合、家庭裁判所に離婚調停や審判を申し立て、そこで親権者を決定することとなります。
 
裁判所で親権者を決定するときの判断基準としては、

(i) 10歳くらいまでは、母親(不適切な者でない限り)
(ii) 子供の意思能力により判断できれば、子供の意思を尊重する
(iii) 双方の状況比較よる決定(家事・育児に費やせる時間、収入、職業など)

が挙げられます。

同様に、親権者が子供を養育する環境が悪くなった場合など、特別な事情があれば家庭裁判所に親権者変更の調停や審判を申し立てることで親権者を変更することが出来ます。

親権者が死亡してしまった場合、親権者(後見人)を変更する必要があります。
まず、親権者が残した遺言による指定が尊重され、指定が特になければ親族の請求によって家庭裁判所が後見人を指定します。

なお、親権と破産の間に関係はなく、親権者が破産をすることによって親権が移るということは特殊な状況を除いてはありません。また、破産している者が親権者になれない、ということもありません。

監護権

監護権は前出の親権のうち「身上監護権」のことを指します。
 
離婚の際には親権者のほかに、「身上監護権のみ」を行使できる監護者を定められます。
 
例えば、父親が親権者となることには同意したものの、時間的に子供の養育ができないということになれば、母親が監護者として子供を引き取ることができるのです。

面接交渉権

面接交渉権とは、離婚後、一緒に暮らしていない方の親が定期的な面会等で子供と触れ合う機会をつくる権利です。
 
原則として、離婚前に夫婦で話し合って面接交渉権について取り決めを作っておく必要があります。
 
その際、以下のような項目を予め決めておいた方が良いでしょう。

面会回数(頻度)

年に何回会えるのか、もしくは毎月会えるのか、などの面会回数を決めておきます。
具体的な日程・場所などは随時決めていくことにして、先に頻度を決定しておくことが一般的です。

子供の受け渡しの方法

例えば、面会中は同居している親が付き添うことを定めたり、一定の年齢に達したら子供だけで面会できることを定めたりします。他にも、子供の行事(運動会など)や、面会時の宿泊、手紙や電話でのやり取りについても取り決めを作っておくのがよいでしょう。

一方が面接交渉権を認めたがらない場合もありますが、その場合は家庭裁判所に面接交渉の調停の申し立てを行うことができます。
 
面接交渉権は親権のように法律で定められた権利ではありませんが、子供の監護に関する処分に含まれるとして、申し立てが認められています。
 
申し立てを行うと、裁判所による調査の結果、子供の福祉に反しない、と判断すれば面接交渉権が認められることとなります。

上記のように、子供に関する権利を理解し、手続きをしていくためには複雑な知識と煩雑な手続きが必要になってきます。
 
専門家に相談することで少しでも負担を軽減するのがよいでしょう。

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